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9月23日オープンキャンパス報告② 模擬講義体験記「ポッキーとキットカットの戦略」

第10回目の「TFU OPEN CAMPUS 2018」が9月23日(日)に開催されました!

今回は、井原先生(経営学科教授)による模擬講義の一部を抜粋してレポートします。レポートを通じて、大学での勉強をイメージしてみてください。

井原 久光 先生

 

【FUJIMAGA】受験生にとって定番のチョコレートといえば「キットカット」ですが、キットカットは初めからそんなイメージを持ったお菓子ではなかったそうです。

 

(井原先生)そのブランドをどの程度記憶しているか?という指標に「ブランド再生」と「ブランド再認」があります。「ブランド再生」とは、手掛かりなしに思いつく純粋想起のことで、「ブランド再認」とは、手掛かりの助けで思い出す、助成想起のことです。キットカットはかつて、「グレープヤード(墓地)」に陥っていました。つまり、ブランド再生が低く、ブランド再認が強い、ヒントがあってはじめてチョコレート菓子として思い出されるブランドだったということです。

 

(井原先生)問題のひとつは、意味不明のキャッチコピーです。「Have a break, have a KIT KAT」というスローガンを継続しました。スローガン自体は浸透したのですが、意味がよくわからないフレーズでした。他の問題は、ターゲットの不明確さにありました。大量販売を狙って、スーパーなどで「袋物」として販売をした結果、主婦が購入するけれど老若男女だれが食べるのかわからないものになってしまいました。

 

(FUJIMAGA)それらの問題をどのように解決したのでしょうか?

 

(井原先生)ヒントは意外なところにありました。受験の神様として有名な太宰府天満宮がある福岡のローカルラジオでの発言です。「きっと勝つと」と発音するから受験のお守りに良いと話題になったのです。こうして、受験というシーンに応じたブランドポジショニングに変更していったわけです。

 

(FUJIMAGA)紆余曲折があって、現在のキットカットに対するイメージが作り上げられていったのですね。

 

(井原先生)他にも、東大に近い本郷三丁目駅で大規模なキャンペーンを展開することでマスコミを活用したり、口コミを活用するために女子高生の間で話題に上がるような演出を行ったり、ホテルなどとのコラボレーションを積極的に行っていきました。美味しいチョコを食べたいという「顕在ニーズ(明確な欲求)」に応えるだけではなく、受験生の不安や周囲の人たちの思いに応えるという形で「潜在的ニーズ」にも対応したのです。