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【模擬講義体験記】定価、希望小売価格、オープン価格の違いって、なんだろう?

オープンキャンパスでは経営学科、イベントプロデュース学科、それぞれの教員が普段の講義をコンパクトにまとめ、模擬講義を行います。高校生の皆さんと年齢が近い学生広報スタッフにも模擬講義を受けてもらい、高校生目線で模擬講義の体験記を書いてもらいました。今回は第5回オープンキャンパスのプログラム、「定価、希望小売価格、オープン価格の違いって、なんだろう?」をレポートします。

 

教授・隅田浩司

 

【FUJIMAGA】みなさんは、「イージートーン」という靴を知っていますか?靴底が不安定な形状になっていることで、履いているだけでトレーニング効果のある靴です。隅田先生の模擬講義では、事例として、この靴が取り上げられました。

 

【隅田先生】イージートーンはリーボックの製品ですが、リーボックは2005年にアディダスに買収されています。そして、アディダス・ジャパンは小売店に対してイージートーンの値引きをさせませんでした。

 

【FUJIMAGA】値段が安い方がお客さんは喜ぶのに、なんでアディダス・ジャパンは値引きを許さなかったのでしょうか?

 

【隅田先生】値引きをさせない理由としては、ブランドイメージが崩れることや、小売店が値下げをするとメーカーの卸価格も下げなくてはいけなくなるということがあります。
しかし、アディダス・ジャパンによるこの行為は法律違反となります。メーカーが小売店に対して価格を指示することを禁止しているのが独占禁止法です。

 

【FUJIMAGA】メーカーが小売店に価格を指示することがなぜいけないこととされるのでしょうか?

 

【隅田先生】メーカーが価格を指示すると、小売店での価格競争を制限することになります。それは、市場(マーケット)で自由な競争をする権利を侵害すると法律上解釈されています。「希望小売価格」の場合は、あくまでメーカーの希望であり指示ではないので法律違反になりません。「オープン価格」の場合も価格設定は小売店の裁量に委ねられているので法律違反にはなりません。

 

【FUJIMAGA】希望小売価格やオープン価格という表示を目にしたことはありましたが、そういう意味だったのですね。

 

【隅田先生】独占禁止法の適用除外となる価格があります。それは「定価」です。本、新聞、雑誌、CDといった文化的要素の強いものは、メーカーが価格を指示しても良いとされています。これまでお話したことは、日本での話です。実は、同じことがアメリカでは合法(違反にはならない)となります。

 

【FUJIMAGA】同じことをしているのに、国が違うと正しいことになるのですね。日本とアメリカではメーカーが価格を指示することに対する考え方が違うということですね。

 

【隅田先生】2007年のリージン事件連邦最高裁判決によってアメリカでの考え方が変わったのです。メーカーが希望小売価格を設定することこそが自由であると。メーカー1社が価格を維持しようとしても他社との競争の結果、価格は下がるというのがアメリカの考え方なのです。

 

 

【FUJIMAGA】日本とアメリカの考え方のどちらが正しいのでしょうか?

 

【隅田先生】これは、専門家の間でも意見が分かれる難問なのです。大学での勉強というのは、このような答えがすぐに出ない問題を考えることなのです。

 

【FUJIMAGA】隅田先生の授業では、「クリッカー」が使用されていました。スマホやタブレットなどの携帯端末を利用することで、授業中であっても先生に質問やコメントを出すことができます。ただ話を聞くだけではなく、授業に参加している印象を受けました。当日は、質問に対して受講している私たちの回答がリアルタイムでスクリーンに映し出されていました。

 

 

◎模擬講義動画

 


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